専門医コラム

2020/05/13

新型コロナウイルスとコンタクトレンズ装用

新型コロナウイルスの初期症状としての結膜炎が問題となっています。

結膜炎をおこしやすい原因として、コンタクトレンズがあげられます。

目に直接いれる「異物」ですから、当然といえば当然です。汚れたコンタクトレンズ、特に使い捨てコンタクトレンズは手入れが不十分ですと「汚れたサランラップ」を目に入れているようなものですから、結膜炎をおこしやすくなることは容易に想像できますよね。

(⇒ コンタクトレンズは目の”異物” )

 

一般社団法人日本コンタクトレンズ協会は、新型コロナウイルス(COVID-19)とコンタクトレンズの装用に関して、海外の研究文献からを下記の報告を出しています。

以下に、当方への通知の全文を掲載しますのでご参照ください。

コンタクトレンズを使用している方は、毎日のレンズケアはもちろんですが、目のケアにもご留意ください!

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新型コロナウイルスとコンタクトレンズ装用に関する安全情報(海外の研究文献のご紹介)


新型コロナウイルスへの感染防止は社会の最大関心事であり、眼科の分野においても、コンタクトレンズ装用や眼鏡の
着用との関係が議論されております。

昨今、眼表面およびコンタクトレンズ分野において世界で最も著名な5人の眼科学者であるリンドンジョーンズ教授とカレンウォルシュ博士(ウォータールー大学)、マークウィルコックス教授(ニューサウスウェールズ大学)、フィリップモーガン教授(マンチェスター大学)およびジェイソンニコルズ教授(バーミンガムのアラバマ大学)らの研究報告として、COVID-19のコンタクトレンズ着用者への影響に関する大変興味深い学術論文が

“Contact Lens & Anterior Eye”に掲載しておりますので、ご紹介します。


・The COVID-19 pandemic: Important considerations for contact lens practitioners
https://www.contactlensjournal.com/article/S1367-0484(20)30055-2/pdf


この論文の中での重要なメッセージは下記であり、コンタクトレンズ装用者に対して安全に関する情報であります。


① 眼鏡との装用と比較して、コンタクトレンズ装用が新型コロナウイルスの感染においてリスクが高いという証拠は得
られていない
② 衛生習慣を守ることが重要(手洗いを含む)
③ 一般的な眼鏡を着用することが、新型コロナウイルスへの感染予防に役立つとの証拠も得られていない
④ コンタクトンズの素材の種類の違いで、新型コロナウイルスへの感染リスクについての違いは認められなかった


何よりも重要な事として衛生を守る事項が強調されており、平時のコンタクトレンズ装用でもお願いしている注意事項
を改めて遵守していただき、安心してコンタクトレンズをご使用下さるようお願いいたします。


① コンタクトレンズ装用時に気を付けて頂いていることですが、角膜(黒目の部分)や強膜(白目の部分)は粘
膜ですので汚染された手で触ると細菌やウイルスの感染の契機となり得るため、手の清潔さを保つことが大切です。
コンタクトレンズの着脱の際には、事前に石鹸を使って手を洗い流水で流した後、きれいなタオルなどで水分をふき
取るようお願いします。
② 他人とのコンタクトレンズの貸し借りは極めて危険であり、絶対にしないようにお願いします。
③ コンタクトレンズを装用したまま睡眠すると、睡眠中に無意識に目を手などでこすることを通じて、感染リスクが高ま
る恐れがありますのでご注意ください。
④ 使用しているコンタクトレンズの装用期間や時間は、処方時の指示または製品の使用説明書に従って正しくお使
いください。特に、ワンデーレンズの再使用や2週間レンズの等の期限超過は絶対にしないようにお願いします。
⑤ ケアが必要なコンタクトレンズを使用している場合は処方時の指示または製品使用説明書に従った正しいケアを
行うことを徹底願います。
⑥ ハードCLのトライアルレンズは、洗浄・すすぎなど取扱説明書を遵守していただくようお願いいたします。


尚、今回ご紹介した論文以外にも、複数の緊急研究が海外の学術誌(電子版)等に投稿され始めておりますので、
ご興味のある方は、是非ご覧ください(以下のURL参照)。

(一社)日本コンタクトレンズ協会では、今後も、新型コロナウイルスとコンタクトレンズに纏わる情報について積極的に紹介して参ります。


また、十分な科学的な裏付けのない情報や、一個人の憶測の記事などがネットなどにて多数散見されていることを懸念しております。当協会を含めた、責任のある情報に注視頂くよう合わせてお願いを申し上げるとともに、マスコミ関係者各位におかれましては、関係記事をご執筆の際は、是非協会へもご照会を事前に頂戴したいとお願い申し上げます。

【団体概要】
団体名: 一般社団法人 日本コンタクトレンズ協会
代表: 会長(代表理事) 浦壁 昌広
所在地: 〒113-0033 東京都文京区本郷3-15-9SWTビル8F
電話 03-5802-5361
設立: 1958年7月1日(2009年4月1日一般社団法人化)
コンタクトレンズ製品の製造から小売までの業界を代表する団体であり、正会員38社(製造販売業者 卸売業者)、
賛助会員33社(小売販売業者)で構成されている


参考文献:


1:Top Contact Lens Experts Dispel Misinformation Regarding Coronavirus / COVID-19 Protections
for Contact Lens Wearers

2:Contact Lens Update COVID-19 SPECIAL EDITION

3:Contact Lens Spectrum WEATHERING THE COVID-19 STORM

4:新たな研究がコロナウイルス/COVID-19パンデミック期間中のコンタクトレンズ着用者に安心と助言
Centre for Ocular Research & Education 2020-04-13 20:00

※1~3は英文記載。4は日本語記載となります。

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