専門医コラム

2015/12/08

眼科疾患(白内障、緑内障、加齢性黄斑変性症、網膜静脈閉塞症)へのオゾン療法

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オゾン療法とはどういうものでしょうか?

それは、ヨーロッパで主に行われているオゾンガスを用いた様々な治療法の総称です。大量自家血オゾン療法では、100~200ccの血液を脱血し、そこにオゾンガスを混合、オゾン化した血液を体の中に戻すという治療法です。

英国のエリザベス女王の母クィーンマムは、週に2回オゾン療法を受け、大きな病気をすることも無く、長生きしたのでイギリスでもオゾン療法が注目され、新聞記事にもなりました。

自家血オゾン療法

自家血オゾン療法には、少量自家血(浄化)療法(Minor Autohemotherapy)と、大量自家血(浄化)療法(Major  Autohemotherapy)=MAHがあり、日本では、大量自家血療法のことを血液クレンジング療法と呼んでいるグループもありますが、本来はそのような呼び方はしません。クレンジングは和製英語で、”汚れ落とし” の意味で使われますが、血液の『汚れ落とし』と言うと誤解を生じるため、血液クレンジングと呼ぶのは日本だけのようです。

大量自家血療法は100~200ccの血液を専用瓶に採血し、そこにオゾンガスを混合し、オゾン化した血液を体の中に戻すという治療法です。少量自家血療法は3~5ccの血液をオゾン化して、筋肉注射で体の各所に打つという治療法です。

オゾン療法の効果

オゾン療法はどのような疾患に効果があるのでしょうか?

ヨーロッパなどでは、B型C型の肝炎や、HIVのウイルスの増殖を抑えるために用いられています。虚血性疾患に対しては、保険適用にもなっています。狭心症や心筋梗塞など、虚血性心疾患の後にオゾン療法が治療として行われています。他にも、老人性網膜変性疾患アトピー性皮膚炎などアレルギー・自己免疫疾患にも用いられます。(投与量により免疫調整作用)、また、免疫力を上げる作用に優れ、がんの補完療法として外科手術後に使用されています。

オゾン療法適用疾患

1.  がん、悪性リンパ腫

2.  自己免疫疾患(慢性関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病、アトピー性皮膚炎、エリテマトーデス)

3.  線維筋痛症

4.  ウィルス性疾患(B型,C型肝炎、HIV、パピローマウィルス、帯状疱疹)

5.  慢性腎不全

6.  慢性疲労症候群

7.  脳神経退行性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、痴呆)

8.  呼吸器疾患(肺気腫、COPD )

9.  真菌感染症

10.眼科疾患(白内障、緑内障、加齢性黄斑変性症)

11.動脈閉塞性疾患(心筋梗塞、脳梗塞)

12.下肢静脈瘤

13.糖尿病(糖尿病性末梢神経障害、糖尿病性壊疽)

オゾン療法におけるオゾンの投与方法

オゾン療法には自家血療法の他に、様々なオゾン投与の方法があります。

水にオゾンガスを混合したオゾン水は、歯科領域での歯周病治療などに、医科領域では火傷、皮膚の感染症や辱創治療に用いられています。オゾンガスをオリーブ油に固定したオゾン化オリーブ油は、塗布することで、アトピー性皮膚炎や水虫治療に使われています。

またオゾンガスそのものも、潰瘍にガラス瓶をかぶせてガスを入れることで、治癒を促進するという方法で用いられたり、患部にバッグをかぶせてオゾンに暴露したり、リウマチの患者などにはオゾンガスを関節内や関節の周りに注射することで、炎症を治療する目的でオゾン注射が行われます。

オゾンガスは筋肉内投与されることもあり、ガス単体やガスと血液と混ぜたものを、注射器によって注入します。皮内投与や皮下投与では、鎮痛効果を狙って、トリガーポイントブロックや循環障害の改善目的に使用されています。

静脈路が確保できない場合、老人や子供の場合は、直腸経由でオゾンガスを注入する注腸法もあります。

それに加えて、最もポピュラーなオゾン療法の一つが、大量自家血オゾン療法です。

オゾンの体内での反応機序

オゾンは体の中でどのような反応を起こしているのでしょうか?  オゾンが血液と接触すると、前期反応として活性酸素種(ROS=Reactive oxygen species)が、後期反応として過酸化脂質代謝物(LOP=Lipid oxidation prodacts)を発生します。この活性酸素種と過酸化脂質代謝物の2つが、オゾン療法の主な作用機序となります。

この場合の活性酸素種というのは、ほとんどが過酸化水素=H2O2です。それが赤血球、白血球、血小板に働きます。

赤血球の2,3-DPGを上げるのでO2運搬能が改善し、末梢の虚血部に酸素を供給しやすい状態にします。白血球に関しては、インターフェロン-γやサイトカイン系を活性化します。血小板については、オータコイドと成長因子の放出、血小板凝集抑制反応によって、一般に言われている血液をサラサラにする効果などを引き出します。

後期反応の過酸化脂質代謝物は、血管内皮細胞でNO放出を増加させ血管を拡張します。骨髄に対しては、もともと2,3-DPGの活性が高いスーパー赤血球を生産させるということがいわれています。オゾン療法を繰り返し行うことで、酸素運搬能の高い赤血球がどんどん増えていくということです。

(※これらの活性酸素種は瞬時に消去されます)

オゾン療法の歴史

オゾンの歴史上のパイオニアには、Christain Friedrich Schonbein(1799-1868)が科学の実験中にオゾンという気体を発見した者として知られています(1840)。この時に、ギリシャ語のOZEIN(臭う)からOZONEと命名されました。

その後、オゾンを使っていた歯科医E.A.Fisch(1899-1966)の患者だった外科医のErwin Payrが、外科にもオゾンを使えないか、ということで始まったのが、医科でのオゾン療法の始まりです。また、Joachim Hansler(1908-1981)は初めて医療用オゾンの発生器(ジェネレーター)を造った人物として知られています。

日本でもオゾン療法は戦前から歯科治療で用いられていました。日大の先生たちによって、歯周病や歯槽膿漏に対し盛んに研究も行われていました。歯周病には良い成績だったことが報告されています。しかし、戦後、オゾンがオキシダントであり、有害だという風説が流れてからは完全に途絶えてしまいました。

ヨーロッパではオゾンの研究は脈々と続いており、最も盛んなのはイタリアやドイツで1万人以上のドクターが、年間100万人以上の患者に施術を行っています。最近の近代オゾン療法の草分けと呼ばれるボッチ教授はイタリア人ですが、実際に治療を行っている先生の数ではドイツが主流になります。ドイツ、イタリア、イギリスでは、何十年と治療が行われています。

また、もともとオゾン療法は、抗生物質の無い時代や地域で盛んに研究されてきたので、現在でもキューバやマレーシアなど開発途上国では、オゾン療法だけでクリニックが運営できるほど盛んに行われています。

アメリカはどうでしょうか?  日本の医療は基本的にアメリカ追従ですので、アメリカで行われていないものは日本でも発達しないという歴史があります。現在、オゾン療法はアメリカではあまり行われていません。そのため、日本でも行われていないという経緯があります。

なぜ、アメリカでオゾン療法が発展しなくなったのでしょうか?  これには、オゾンガスを直接血管に注射するという、誤った治療を行った医師がいたという理由があります。この治療によって、肺塞栓症を起こして死者が出て、FDAはオゾン療法を全面的に禁止しました。当然のことながら、オゾンが悪いわけではなく、間違った使用法のためにオゾンが禁止されてしまったのです。

その後、FDAは2001年から食品を保存するための殺菌剤としてのオゾンを認可し、アメリカのアンチエイジング医学会の一つであるACAMでは、近年オゾン療法を取り上げるようになってきました。現在では11州で、医師の責任において治療が認められています。

オゾンの間違った認識はどこから始まったのでしょうか?  それはオゾンが大気汚染の原因で有害だと誤認されたためです。オゾンは、大気汚染の原因、窒素酸化物(NO、NO2、CH4)と紫外線が反応することで生成されますが、窒素酸化物は測定しづらいため、オゾンを測定することで、窒素酸化物の量を推定し、大気汚染の指標としています。

このため、オゾンがあたかも大気汚染の原因なのではないかと、誤認されるようになってしまったのです。

治療時間・治療の目安(長浜院で治療を受けられます)

治療時間は約1時間

免疫力向上目的の方や、適応疾患の改善を目的とされている方は 週/1~2回

健康維持、老化予防を目的とされる方は 月/1~2回

初回 18,900円

2回目以降 15,750円

回数券(6回綴り) 78,750円(1回分お得)

この治療は自由診療となります

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