専門医コラム

2016/02/13

糖尿病網膜症は、桑葉で改善の可能性!

桑葉の成分に糖尿病予防の効果があるって本当?

糖尿病患者のほとんどを占める2型糖尿病は、食べすぎやストレスなどによってインスリンの量が減ったり、働きがにぶくなることによる生活習慣病です。これは、食習慣の改善により予防、発症を遅らせることが可能です。

近年の研究により、食後の急激な血糖値の上昇が、心筋梗塞などの危険因子であることが明らかにされました。そこで、食後の血糖値の上昇をいかに抑えるかが糖尿病予防のポイントと考えられています。

桑は養蚕のため日本各地で植栽されてきた植物ですが、古くは鎌倉時代から糖尿病予防効果がうたわれてきた素材です。研究の成果から、桑葉には糖の消化酵素に対する強い阻害活性があり、食後の血糖値上昇を穏やかにする効果が期待できることがわかり、糖尿病の予防につながるとして注目されています。

糖尿病予防のメカニズム

ごはん、パン、うどんなどの糖分は、食後、消化管で消化され、最終的に小腸上皮にあるαグルコシダーゼと呼ばれる酵素によってブドウ糖に分解されます。その後、吸収され、血中に移行するため、食後は血糖値が上がります。

私たちが普段食べている食物の中には、このαグルコシダーゼの働きを抑えるもの(αGIと呼ばれています)があります。αGIは糖の吸収を穏やかにすることから、糖尿病の予防効果が知られています。

桑には強いαGI作用があり、それは1-デオキシノジリマイシン(DNJ)と呼ばれる成分に起因します。DNJはブドウ糖ととてもよく似た形をしていて、αグルコシダーゼがDNJをブドウ糖と間違え、強く結合するためにαGI活性を示します(図1・2)。

DNJは桑に特徴的な物質で、身近な園芸作物では桑にしか含まれていません

被験者にDNJを高含有する桑葉エキスを食前にのませ、食後の血糖値の変化と毎食前の長期摂取による安全性を調べた結果、桑葉エキスは0.8g程度で、確かに食後の血糖値上昇を抑制することがわかりました。また、調べた範囲では深刻な副作用はみられませんでした(図3)。

ミネラル、食物繊維も豊富な桑葉

桑葉には、糖尿病の予防効果のほかにも、高血圧抑制、血中脂質抑制、便通改善などの効果が知られています。とくに、栄養成分的には現代人に不足しがちな亜鉛、カルシウムなどのミネラルに富み、食物繊維が多いとの報告があります。

こうした効果に着目して、様々な桑葉商品が販売されていますが、実際の医療現場で増加する一方の糖尿病患者さんへお勧めしている医療機関専用品を次回ご紹介します。

 

ページのトップへ