専門医コラム

2016/10/26

秋 〜大気の乾燥による不調がおきやすい季節〜

今年は長らく暑い時期が続きましたが、流石に10月下旬ともなると寒くなってきましたね。この時期に体調を崩す方が多く、一部ではすでにインフルエンザの発症も報告されています。

今回は、東洋医学での秋のメカニズムについてご紹介させて頂きます。

大気の乾燥による不調がおきやすい季節

この時期は、夏の陽の気の亢進が過ぎ、冬に向けて陰の気が徐々に高まることで体温や代謝のバランスが整い、心身も気候とともに安定してきます。夏の間に消耗した気を補い、冬に備えて体力を養う『調整の季節』ともいえます。

参考までに、陽の気とは、動的な性質を持つものです。自然界では夏、昼、太陽。カラダの状態も男性、上半身、背部を表します。陰の気とは、静的な性質を持つものです。自然界では冬、夜、月。カラダの状態も女性、下半身、胸腹部を表します。

秋が深まるにつれ、涼しく乾燥した大気が優勢になります。この乾燥が、皮膚や体内の潤いを奪います。この現象は東洋医学では、「燥邪(そうじゃ)」と呼ばれ、乾燥性が高く、体内に侵入すると皮膚や毛などの潤いを損ねるほか、呼吸器系と関係の深い「肺」の働きにも影響します。

乾燥から受ける影響は、健康面だけでなく、美容面にも大きく関与します。

秋口に起こりやすいのが "のどや鼻に渇き" ですが、秋が深まってくると鼻水や咳といった症状に変化していきます。

この季節に大切なことは、乾燥から身を守ることです。

乾燥からどのように身体を守るか

秋に旬を迎える食材が、冬に向けてエネルギーを蓄えるために有効なのです。

たとえば、活動エネルギーとなる【穀物、いも類、栗、くるみ

少量でも栄養価の高い【銀杏、木の実類

糖質と水分を多く含む【梨、柿、りんご、ぶどう

脂の乗った魚介類は【さんま、さけ

このような季節の恩恵は、夏に消耗した体力を補い、燥邪から身を守るための基盤を作ってくれます

自然と食欲も旺盛になる季節ですが、食べ過ぎたり、その反動での無理なダイエットなどで、身体を酷使することのないようにしましょう

無理をした分は、次の季節の冬に影響を及ぼしてしまいます。季節の変化に上手く同調できると良いですね。この変化に適応できないと、目の病気はもちろん、体調不良の問題につながりますので。

次回は、秋の乾燥対策に大切な睡眠についてお伝えしたいと思います。

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