専門医コラム

2017/01/27

目の老化は認知障害に! スマホ注意

スマホが身体全体に影響することをこれまでお伝えしました。今回は改めて目への直接影響について、さらに目から身体にも影響を及ぼす点をお伝えしたいと思います。

PC、スマホ…勉強だけでなくITツールで目が酷使される現代

五感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)を通じて入手した外界の情報を脳が処理・分析することで、私たちは思い通りの生活を営んでいます。五感の中でも脳が処理する情報の80〜90%は視覚から入手されていると言われています。

睡眠中などの目をつぶっている時以外は、ほとんどの方は絶えず目から情報を得ているのです。なぜなら、私たちは、常に、ものを触ったり、臭いをかいだり、人の話に耳を傾けたりしているわけではないからです。ご自身の状態を考えていただくと、このコラムをお読みいただいている間ももちろん「視覚」が一番働いているはずですね。

身体の中で最も活動的に動いている筋肉は、腕や脚の筋肉ではなく目の筋肉なのです。目には動いている部位が200万個以上もあります。毎時間3万6000種類もの情報を処理する能力があると言われているのです。また睡眠中も含めて無意識のうちに目は動き続けています。レム睡眠と言って、寝ていても眼球が動いていることをご存知でしょうか。

目は身体の病気の先行指標

これまで様々な方向からお伝えしてきたように、目は心身の健康状態を映し出す鏡です。「目は身体の病気の先行指標」なのです。

過労や寝不足の時は、目を見ればそのコンディションの悪さがわかりますし、下まぶたの裏側や白目の部分の色が変化している場合は貧血や内臓に病気があることが示唆されます。眼球を調べれば、糖尿病、高血圧、動脈硬化などの兆候や進行度についても発見することができます。これは眼科医であれば誰もが知っていることです。

このように休むことなく機能し、心身の状態や影響を反映しやすい目! 現代社会では極端に酷使されるようになってきました。

皆さんの毎日を振り返っていただければ納得できることと思いますが、パソコンやスマートフォンの急速な普及がその理由の一つです。ストレートネックの問題をお伝えしましたが、従来のカラーテレビやテレビゲームなどによる影響とは比べ物にならないほどスマホの長時間使用は身体を痛めています。眼精疲労、ドライアイ、そしてブルーライトによるダメージは比較的よく知られています。さらにはスマホは強力な電磁波発生装置ともなっています。その影響で目の加齢(エイジング)は今後、これまで人類が経験したことがないほど急速に進むことが危惧されています。

目の老化は脳の老化を引き起こす

脳に伝わる感覚の大半が目から入ってくるわけですから、目が衰えて視覚情報が減ると脳への刺激も弱くなって、老化が進むことは想像に難くないでしょう。

目の老化により視力が低下し視野が狭くなると、視覚情報刺激の低下により脳の活動が鈍くなります。すなわち、刺激に対する脳の反応が弱まるため、意欲や活動性が低下します。

この時、記憶のために必要な情報も得られなくなると、認知機能の低下も進みます。実際に脳が刺激を受けても興奮しなくなると認知障害が悪化することはしばしば報告されています。

例えば白内障を治療で治して視力を回復させることが認知症予防に繋がるという医学研究があります。臨床現場でも、視力を回復して心身ともに元気になる患者さんは枚挙にいとまがありません。視力回復が、”若返り効果”(アンチエイジング)に最も効果的な治療の一つであることは多くの方が実感されています。

心配なのは、既に白内障の発症年齢が20、30年前より早くなっているのではないかと感じられることです。スマホの普及が、白内障を代表とする加齢に関連が強い眼科疾患が今後激増するのでは無いかと危惧されることです。

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