専門医コラム

2017/03/11

多焦点眼内レンズ、意外な欠点!

多焦点眼内レンズも万能ではない

当院で手術された患者さんで、残念ながら多焦点眼内レンズでの不満足の訴えがありました。

明るい外から薄暗い室内へ入った時に視界全体がぼやける、手元が思ったより見づらく、新聞を読むのに老眼鏡が必要との訴えでした。

上記の問題原因を見つけるために散瞳検査(瞳を薬で拡げて、目の奥の詳細を検査する)をしたら、むしろ手元も見やすくなることが確認されました。

多焦点眼内レンズに種類がある

多焦点眼内レンズの種類については当院の白内障サイトをご覧ください ⇒ 多焦点眼内レンズの種類

この患者さんの術前のご希望は「ゴルフが趣味で、遠くのボールを裸眼で良く見える事」でした。「手元は老眼鏡を使っても良い」というご希望も確認しておりました。

そのため、HOYA社の多焦点眼内レンズ(iSii、アイシー)が適応と考えご案内しました。

アイシーは国内で唯一承認されている屈折型の多焦点レンズです。

他のレンズとの比較では、アクリル製で遠方の視機能が単焦点眼内レンズに比べて遜色がないとされています。遠方重視の方には、光学的エネルギーロスが少なくコントラスト感度も良好で一番の推奨レンズです。不快なグレア・ハローは他の回析型レンズより軽減しています。中間距離視力も回折型に比べて良好で、コンピュータ作業などのオフィスワークに適しているとされています。しかし、手元の見え方が他のレンズより弱いことがネックです。術後早期から近見視力に限界があり、近用眼鏡の装用が必要になる場合もあります。

アイシーの問題は瞳の大きさで見え方の質が変化しやすい点です。

瞳を広げる薬を点眼すると近くが見やすくなったのは、この患者さんの瞳の大きさが年齢より小さく、特に明るい光の下で瞳が小さくなっていると手元がより見づらくなっていたようです。明るいところから暗い所へ入った際も、瞳の広がりが弱いために全体がぼやけてしまう自覚症状を起こしていた可能性があります。

屈折型の多焦点眼内レンズはある程度の瞳孔径が確保できる40~60才台の方で、基本的に近くは眼鏡でも構わないがコンピューター作業の距離(40cm~50cm)から遠方までを出来るだけクリアに見えることがご希望の遠方重視のレンズと言えるでしょう。ゴルフやテニスなどを好む中高年の男性の方に好評のレンズです。

術前の理解と術後の実際「見え方」の相違

今回の患者さん、術前に近方メガネの必要性が説明されていました。しかし、実際の見え方に遭遇した場合、ご自身の予想していたイメージとの相違が多かったようです。

こうした場合、片方の目に回析型レンズを使用すると満足度が上がる場合があります。

しかし、多事なことは多焦点眼内レンズにも限界があるという点です。

若い20台の方のような見え方に完全に戻るわけではありません。

また、そのレンズの特徴を理解はしても、実際の見え方が患者さん一人一人の期待との差が生じることもあり得ます。そのために当院では多焦点眼内レンズの術後の満足度を上げる為に、タッチアップ・レーシックという視力改善治療のご提案もしております。

もし多焦点眼内レンズで何らかの疑問点がある場合は、術前に担当医やスタッフと十分にご相談されてから決定して頂くことをお勧めします。

十分に理解して多焦点眼内レンズを選択いただいた場合、単焦点眼内レンズに比べて術後の視力に大きな満足が得られる治療である事も間違いありません。

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