専門医コラム
2016/02/21
花粉症、家庭用殺虫剤との関連 子供のガンの報告も!
今年は現在のところスギの飛散が予想より少なく、いわゆる花粉症でお困りの患者さんが少なく幸いです。
しかし、ハウスダストによる通年制アレルギーの方や、PM2.5 によるアレルギー症状を発症される方はむしろ増えているように思われます。
何故アレルギー体質になるのか
これまで述べてきたように、われわれの身体は食べたもので出来ています。当然ですが、これまでの食の反映が我々の現在の身体、”体質” となるはずですね。
しかし、当然ながら身体には外部要因も影響します。前述のPM2.5 などはその代表例。電磁波についても身体に与える影響、時にはガンの発症にも関与することをこれまでにお伝えしてきました。
それ以外にも身近な物質があなたの大切な子供さんに大きなダメージを与えているとしたら! 今回は一般家庭でも頻回に使用されている殺虫剤についてお伝えします。
殺虫剤の危険性
米国ハーバード大学よりPEDIATRICSに発表されたメタ解
室内で使う殺虫剤が小児期の白血病とリンパ腫発症リスクと関係し
直接花粉症との関連を見たものではありませんが、もしこれらの患者さんが杉の多い時期の日本にこられたら、「花粉症」発症率がかなり高そうです。
殺虫剤の屋外での使用は今回の研究結果では関係していないとの報告です。この結果には私は疑問を持ちますが、除草剤では白血病発症リスクは26%
有意差はなかったものの、
現代生活では、虫はみんなの嫌われものですね。アリ、ゴキブリ、
ゴキブリ嫌いな人ですと、一匹見つけると
殺虫剤の成分は、有機リン剤、合成ピレスロイド剤、BT剤(枯葉剤の一種)など様々ですが、家庭用としてもっとも多く使われているのがピレスロイド系です。
ピレスロイド系殺虫剤
これは、蚊取り線香の原料として使用されたシロバナムシヨナギク(除虫菊)の花に含まれる成分(ピレトリン、ジャスモリン、シネリン)とよく似た作用・構造の化合物のことで、害虫に対して殺虫効果や忌避効果を示すことから、古くから「家庭用殺虫剤」の殺虫成分として使用されています。
ピレスロイド系の殺虫成分の特長(アース製薬HPより)
- 速効性で、早く効果があらわれる
- 物陰から害虫を飛び出させる効果(フラッシングアウト)がある
- 忌避効果がある
- 人に対して毒性が低く安全である
- 自然界における分解が速く、環境にやさしい
ピレスロイド系の殺虫成分は、虫の神経系に作用して殺虫効果を示すものです。しかし、人を含む哺乳動物に対しては、分解酵素の働きで速やかに代謝され、尿などで短期間に体内から排出されてしまいます。そのため、人を含む哺乳動物には安全性が高いといえます。
アースノーマットやアース渦巻香のような、室内で長時間使用する製品についても同様です。
・・・と、メーカーは言っていますが、果たして本当でしょうか?
別の論文では、妊娠動物にピレスロイドを投与すると、その子供に永続的な脳の障害が現れることが報告されています。少量のピレスロイド(デルタメトリン)を妊娠した実験動物に投与すると、子ネズミの脳に影響が現れ、成熟期になっても障害が残っていることが発見されています。学習や記憶の障害が見られ、神経伝達物質(コリン)の受容体の減少や、アセチルコリンエステラーゼ活性の増加が見られ、神経に変性が起こった時に現れる蛋白質が見られたのです。
また、脳が発達中の幼い動物にピレスロイドを投与すると、行動や脳の機能に大人になっても続く影響を与えることが報告されています。また、幼児期にピレスロイドやDDTを投与された動物は、大人になってから少量のピレスロイドに過敏になることも知られている。
直接投与する代わりに、母ネズミにピレスロイドを投与して、母乳を経て子にピレスロイドに被ばくさせると、成熟しても行動変化が残っていたという報告も。
幼児や胎児は有害な毒物に敏感であり、長く続く影響を与えるので、こうした研究報告を知ると、虫を殺せる毒が人間に影響を与えないはずがない、と素直に考える方が正しいと思われます。
免疫機能の発育に悪影響を与えて、アレルギー体質形成にも関与しているのでしょう。
それでも虫に我慢できない!?
我慢はできない。でも殺虫剤(=毒)
だから、現代生活の室内には空気清浄機が欠かせないのです。
CADR(
蚊に刺されないために、蚊取り線香やベープマットを良く使うリビングや子供部屋にも設置して、必要以上に身体に負担をかけないよう成長期のお子様を守ってあげていただきたいと思います。
もちろん目の発育、近視の予防にもつながる対応と考えます!