専門医コラム
2016/12/07
ドライアイ治療「涙点プラグ」
涙が排出される涙点(上涙点/下涙点)にシリコン製のプラグ(栓)を挿入することで、涙の排出を軽減し、涙を貯留させることでドライアイ症状を緩和させる治療をご紹介します。
涙点プラグ
涙点プラグは、人工涙液の点眼では、自覚症状が軽快しない場合や、眼の表面の傷が改善しない場合に、次なる選択肢として勧めている治療です。涙には細胞成長因子であるタンパク質やビタミンなどの重要な成分を含んでいます。これは人工涙液では補うことはできません。涙点プラグを挿入することで、栄養を含んだ自分の涙で眼を潤すという点で優れた治療法といえます。
また、涙が少ない方にとって、コンタクレンズの装用はトラブルの元になります。コンタクトは、よく海に浮かぶ船にたとえられるように、涙の層の上に浮いています。しかし、涙が少なければ、コンタクトという異物(船)が座礁し眼の表面を傷つけることになります。このような場合には、涙点プラグによって涙を保つことで、コンタクトレンズ装用による眼への負担を軽減できます。
涙点プラグ挿入術は、外来による簡単な処置で行えます。まず、点眼麻酔をし、患者さんの涙点の大きさを測定し、挿入するプラグのサイズを決定します。プラグの挿入は、ペンのような専用の道具を使いワンタッチで施行できます。痛みはなく、3分程度で終了します。涙点プラグは、一度挿入しても、外来ですぐに外すことができます。
涙点は上涙点・下涙点と二つありますので、ドライアイの症状にあわせて、上・下どちらか片方だけに挿入する場合もあります。また、左右の眼どちらか一方に試して症状の改善を確認するといったことも提案させていただいております。
涙点プラグ挿入術の費用は、使用するプラグの本数で変わってきます。涙点は両眼合計で4つあり、ドライアイの症状に合わせて、上涙点/下涙点のどちらか一方を塞ぐ場合と、両方を塞ぐ場合とで金額が変わってきます。
下記の値段は、当院で行っている涙点プラグ挿入術にかかる費用です。その他、検査料などが別途必要となります。
【保険3割負担の方の場合】
片眼 | 両眼 | |
プラグ1本 | 3,350円 | |
プラグ2本 | 4,810円 | 6,700円 |
プラグ3本 | 8,150円 | |
プラグ4本 | 9,610円 |
涙点を塞ぐということは、ながしでいう排水口を塞いでしまうのと同じになりますので、老廃物が眼の表面に留まることも起きえます。このため、目やにやかゆみが増えることがあります。この場合は人工涙液で老廃物を洗い流したり、抗生物質、抗アレルギー剤の点眼を併用する場合があります。また、効き過ぎの場合、かえって涙が溢れてしまうこともあります。この場合は、上・下涙点どちらか一方にプラグを挿入するなどして、涙の排出量を調整します。
通常、プラグによる違和感はあまりないのですが、プラグの頭が眼の表面にふれて角膜や結膜を傷つけることがあります。違和感は、時間が経つと慣れる場合がほとんどですが、そうでない場合、サイズを変えたり、挿入の仕方をかえたりします。
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