何故近視になるのでしょう?
特に成長期の子供さんの目、大事です。
今回は「動物での近視の作り方」!!
ある実験結果を紹介しましょう。スウェーデンのノーベル医学・生理学賞(1980)受賞者のトルステン・ウィーセル(Torsten N. Wiesel)医学博士の研究によると、生後すぐ片目に目隠しをされたヒヨコは、成長とともに目隠しされた側の目だけ眼軸長(角膜から網膜までの眼球の長さ)が異常に伸びてしまうことがわかりました。
次に、片眼に真ん中に穴をあけ、モノが見えるようにした眼帯をしても、穴あき眼帯(ピン・ホール)をしたほうの目の眼球が長くなりました。
このような動物実験がそのままわれわれ人間に当てはまるとは言い切れませんが、この実験から、たとえピン・ホールで穴をあけたとしても、眼帯をしたほうの眼球は近視と同じような状態になってしまうことがわかったのです。
私たちの日常生活で眼帯をし続けることはあまりありませんが、眼をふさいでいるのと同じ環境は日常のいたるところにあります。そのような環境で生活をすることで、現代の子どもたちは非常に近視になりやすくなってしまっています。
子ども視力回復トレーニング(2)
現代生活は人類を「眼球過剰成長病」に!
前述のヒヨコの実験から、目隠しをしたほうの眼球が近視と同じ状態になりました。ですから成長期の眼が正常に発育するためには、適切な光刺激が必要だと考えられています。では、ピンホール眼帯では光刺激が入るのに、なぜ近視になってしまうのでしょうか。
多くの方が、視機能を「視力」だけだと思っているのではないでしょうか。ところが、視力は視機能の一部であって、「視野」も視機能の重用な要素を占めているのです。ですから、モノが見えて、光刺激があったとしても、ピンホール眼帯によって周辺部分の視野が制限されてしまうと、眼球が正常に成長せず、必要以上に眼球が伸びて近視化してしまうのです。
近視とは、「眼球過剰成長病」です。
ピンホールと同じような視野が狭い状態のひとつが、「室内中心の生活」です。いつも決まった自分の部屋や、狭い空間にいると、生活活動に必要となる目視距離(眼でモノを見る距離)50㎝程度まで。近くを見る作業が生活の主体となり、「視野」を使う必要がなくなってしまうのです。勉強すると近視になりやすいといわれるのは、教科書などの狭い範囲を長時間凝視し続けるため、視野を制限してしまっているのです。携帯電話の狭い画面の長時間見続けたり、小さな画面でゲームをやり続けると目が悪くなるというのも同じ原理です。
さらに、子どもの姿勢も眼に大きな影響を与えます。たとえば姿勢が悪く、体の左右のバランスが崩れていると無意識のうちに片目でしかモノを見なくなってしまいます。当然、そうなるともう片方の眼はあまり使わなくなってしまい、前述の実験のような「使わない眼は近視化する」状態になってしまいます。
「ストレス(交感神経過緊張)」も視野の広さに影響を及ぼします。気分が優れないとき、たいてい人間は眼の動きが悪くなってしまい、視野制限をかけてしまっているのです。また、ストレスは免疫力を低下させ、気づかないうちに眼に大きなストレスをかけてしまい、正常な眼球の成長に影響を与えてしまいます。家庭や学校でストレスが多くかかる現代の子どもたちにとって、日ごろの生活習慣を見直す必要があるのです。
子ども視力回復トレーニング(3)