専門医コラム
2015/12/06
善玉菌、悪玉菌 腸内細菌のヒミツ!
善玉菌、悪玉菌という名前はよく耳にしますが、どういったものなのでしょう?
どちらも大腸の中に住みついている細菌で、便宜的に分けて呼んでいます。大腸の中には、およそ100種類・100兆個の菌がいますが、その中で身体に無害または有益なものを作り出すものが善玉菌、毒性のものを作り出すのが悪玉菌です。代表的な善玉菌にはビフィズス菌などの乳酸菌があり、悪玉菌はウエルシュ菌などが有名です。加えて、どちらにも分類されない日和見(ひよりみ)菌というものもあります。日和見菌は、腸内の環境によって、いい働きをしたり悪い働きをしたりと定まらない菌のことで大腸菌などが挙げられます。
悪玉菌が善玉菌よりも優位になると腸の不調が起こる
悪玉菌の作り出す毒素が、ガスとしてどんどん身体から排出されれば問題はないのですが、一度便秘になるとガスが身体の中にたまってしまいます。たまった毒性のガスが、腸の働きも動きも悪くさせるので、さらに便秘がひどくなります。便秘になると、便の腐敗が進みますます悪玉菌が増えるという悪循環になります。
便秘が起こると、腸内だけではなく身体全身に悪影響が出る
便秘というのは、腐敗便が体内にとどまっている状態のことなのです。腐敗便は、悪玉菌のすみかになって、さらに悪玉菌が増えるという悪循環を引き起こします。また腐敗便から出た毒性物質が、大腸の血管から取り込まれて身体中に広がっていきます。全身に及んだ毒性物質の一部は肝臓で代謝されますが、皮膚から体外に排出されたものは肌荒れの原因に、呼気から排出されたものは口臭や体臭のもとになったり肺の病気を引き起こすこともあります。まさに全身に影響が及んでしまうんです。こうしたことからも、いかに腸内環境を良好に保つことが大切かわかると思います。
便秘以外にも、悪玉菌が増えてしまう原因
実は、現代の日本人の食生活は、悪玉菌を増やすことにつながってしまうことばかりです。肉などのタンパク質や脂質の過剰摂取も、その一因です。
タンパク質や脂質は、悪玉菌のエサになるものだからです。小腸で消化・吸収できるだけの量を摂取している分には問題ないのですが、過剰に摂取をすると消化が十分にされないまま大腸に運ばれてきます。タンパク質には窒素や硫黄が含まれていて、悪玉菌が分解をすると窒素酸化物や硫黄酸化物ができます。これらは臭いもきつく、毒性もあるものです。
WHO(世界保健機関)は、不適切な調理方法もよくないとしています。肉を必要以上に高温で焼いてコゲを作ったり、長期保存したものなども含まれます。それらはタンパク質を変性させる恐れがあり、人間の酵素と合致しなくなる可能性が出てきます。酵素が分解できないタンパク質は、大腸まで運ばれ悪玉菌のエサになってしまうのです。スナック菓子などのジャンクフードなども長期保存された食べ物ですから、多量摂取をしている人の腸内環境は、悪化していると考えられます。